小学校図書館司書おすすめ母の日絵本【ぼくにげちゃうよ】親子の読み聞かせに最適♪うさぎの親子の知恵しぼりです。
●親子の「こうする」「ならこうする」の発想が面白い！
主に白黒の絵で、文字のない見開きカラーのページが合間合間にあります。
縦１８cm横２１cmで少し小さめ横長の本。
ソーシャルディスタンスで大人数相手に読むには向きませんが、集まって読み聞かせをする分には、十分見えやすい本です。
こうさぎが、ある日思うのです。
家を出てどこか遠くへ行ってみたい！
子供なら一度は思うことですね。
「ぼく にげちゃうよ」と、かあさんうさぎに言うのです。
「かあさんは おいかけますよ。だって、おまえは とってもかわいい わたしのぼうやだもの」とかあさんうさぎは答えます。
「かあさんが おいかけてきたら、ぼくは、おがわの さかなになって、」と、こうさぎの返事がおもしろいこと。
それを笑うでもなく、「かあさんは りょうしになって、おまえを つりあげますよ」とちゃんと答える、かあさんうさぎ。
そして見開きカラーで、こうさぎをつりあげるかあさんうさぎが描かれるのです。
文章はありませんが、このカラーページは長めに見せてあげます。
えさはもちろん○○○○。
聞き手のこどもたちも気づくと、楽しそうに指差します。
この親子の会話がおもしろい絵本なのです。
「かあさんが りょうしになったら、ぼくは」
さあ今度はこうさぎ、何になるかな？
参加型で楽しみます。
「○○になるのなら、かあさんは、とざんかになって、おまえのところまで のぼっていきますよ」
「かあさんが とざんかになったら、ぼくは」
「おまえが○○になるのなら、かあさんは、」
と知恵の絞りあいになるのです。
それにしても、こうさぎの発想がおもしろいのです。
「ことりになって にげていくよ」と言われたらどうします？
「おまえが とまりに かえってくるのを まっていますよ」
こうさぎに羽が生えて飛んでいて、かあさんうさぎの木が待つカラーの絵。
とまりにかえるのを待つって、そういうこと！？と笑いがおこります。
小さなヨットになって逃げる
空中ブランコで逃げ出す
どこまでこのやりとりが続くのか、と思いきや。
すとん、っとラストを迎えるのです。
「ふうん。だったら、うちにいて、おかあさんのこどもでいるのと おんなじだね」
ああ素敵なしめくくり。
親子の微笑ましいやりとりに、癒され、そして気づかされる絵本です。
子供に聞いてほしいのはもちろんですが、親御さん、先生にも、包容力を学ぶ絵本になっているかと思います。
参考になりましたらうれしいです。
