小学校図書館司書おすすめ春の絵本【さくらのさくひ】中高学年に静かに聞き入ってほしいお話です。
●春の読み聞かせおすすめの絵本です。
桜の木のピンクと、動物たち、野原のたんぽぽや草花の色彩鮮やかな表紙で、たのしいお話のように見えますが、最後まで読むとじーんと感じ入ってしまう大人も泣けるお話です。
桜の時期に読んであげてください。なかなか咲かない頃でもよいです。
●花見で人気者の桜と、ひっそり土の中にいるもぐら
山のてっぺんに大きな年老いた桜の木があり、毎年春になると、それは見事に花を咲かせていたのです。
鳥も動物も、人間たちも、満開の見事な桜の木を見上げてきました。
実はこの桜の木の地面の下には、もぐらが住んでいていました。
いつもにぎやかに囲まれている桜の木に、もぐらは言います。
P8「あなたは いいですね。~ぼくは いつも ひとりぼっち。」
桜は優しく答えるのです。「わたしが いるじゃないか。」
そしてもぐらと桜は、月夜のもと、友達になります。
この静かな月光のシーンが、私はとても気に入っています。
桜ともぐらの会話を、ゆっくり読み上げます。
●花見の時期が過ぎれば、桜は…
見事な桜も、やがて散ります。
すると人は、動物は?
花見を終えた桜は、急に人気を失う。
大人はあたりまえに思って、それを寂しいとも思わなくなっていますが、もぐらは不思議に思うのです。
P10「みんな どうしたのですか。」
来年の春に咲くまで、桜はひとりぼっちになってしまうのだろうか。
桜は言います。「きみが いるじゃないか。」
大切な友達だと、もぐらのことを呼ぶのです。
●春以外の桜は…
花が散り、人や動物が去り、寂しい桜の木。
夏がすぎ、秋がすぎ、雪で山ごと真っ白になるのです。P12
この見開きの絵が、大変切なく感じます。
けれど聞き手のこどもたちは、また春がきて、あたりまえに、桜が咲くと信じて聞いている場面です。
●しかし春がきても…
桜は、咲かないのです。
見に来た動物も鳥も人も、「みんな がっかりして かえっていきました。」P14
もぐらは心配します。
「わたしは としを とりすぎたらしい。」桜は、根で水を吸うことができないのだと言うのです。
もぐらは根っこを見に行きました。「かさかさに なっていました。」P19
もぐらは反省します。大切な友達だと言ってくれた桜のことを、ちゃんと考えたことがあっただろうかと。
●大切な友達の桜に、もぐらは…
川まで穴を堀り、水をすくって、桜の根っこまで運びました。
しかし。
「もぐらの てから こぼれたのは、 ひとしずくの みずたまだけでした。」
もぐらの手では、土は掘れても、水は運ぶことが出来なかったのですね。
もぐらはそれでもそれでも。運ぶのです。
自分の空腹も忘れ、ふらふらになっても、水を運ぶのです。
疲れきるもぐら。
●切ないラストシーン
この最後のシーンが、何度読んでも涙を誘われます。
もぐらの台詞は、力ない、小さな声で読み上げます。
とはいえ、あまり演じすぎないよう気を付けています。子供が感じるがままに任せたいところです。
そして最後のページ。
半分のページですが、ここは長く見せています。
裏表紙もしかりです。
もぐらが満開の桜を、見上げている。
●桜の美しさ、そして切なさがつまっています。
桜のひとときの美しさ、私たちの桜の愛で方の、ある意味「残酷さ」を見せつけられる絵本です。
SDGsにもつながっているお話なのかなと思います。
小学校中学年くらいから、静かに聞き入ってほしいお話です。
参考になりましたら嬉しいです。
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