小学校図書館司書MARIママ、読み聞かせ絵本紹介します!

学校司書のパートと、2歳4歳姉弟の育児&保護猫2匹のお世話に奮闘しているMARIママです。読み聞かせおすすめの絵本を紹介しています。

小学校図書館司書おすすめ児童書【みけねえちゃんにいうてみな】姉御猫が母子家庭の親子の仲をほっこり取り持つお話。

●区別せず配慮して「母の日」「父の日」コーナーを作ろう

本の住所は913む
そう、絵本ではありません。
村上しいこさんの児童書です。

表紙の猫が「みけねえちゃん」。
関西弁の姉御猫ちゃんです。

P2でいきなり「ワン ツー スリー、」とエクササイズする絵が描かれていて、猫好きはきゅんときます。
テレビを見ながらエクササイズ。
みけねえちゃん、女子力高いです。

けれどおかあちゃんに消されてしまう。
かあちゃん、「ともくんを さがしてきて。」と言います。
抵抗むなしく、おかあちゃんのいうことを聞くことに。
どこのお家も、子どもにもペットにも、おかあちゃんは最強なんですね。笑

ともくんは公園にひとり、うつむいていました。
帰りたがらないともくん。
「木や 草が、しゃべらないのは、どうしてかな?」と聞いてきます。
聞きたいことがあって、草や木なら教えてくれるかも、と考えたそう。
とにかく連れて帰ろうと、みけねえちゃんが手を繋ぐと、過剰に痛がられてしまいます。
「いたいんや。」
みけねえちゃんをおいて、ともくんは走って帰っていってしまうのです。
どうしたのでしょうか。

帰宅してお夕飯になりますが、「うーちゃん、すべりだいしてた。」と、ともくんなのに、「うーちゃん」と自分のことを言うのです。
かあちゃんは、「なんや、きもちわるい」といやがっているのに、ちっとも改めないのです。

なぜ「うーちゃん」と言い出したのでしょう。
先週くらいから言い出したそう。
「なあ、みけねえちゃん。」とおかあちゃん頼みます。「ともくんの クラスへ 行って、しらべてみてくれんかな。」
断ろうとしたみけねえちゃん、しかしチュールをご褒美にもらえると聞いて、引き受けます。

ともくんは二年二組。
みけねえちゃんは教室の後ろのロッカーの棚に、頬杖ついて寝そべります。
かわええ。笑
壁には自己紹介の紙が貼ってあるのですが、ともくんのものが見つかりません。
いじめにあっているのかな、と、教室の他の友達たちが敵に見えてくるみけねえちゃん。
P26の絵と、怖い想像の文章が、表現すばらしいです。

けれど休み時間になれば、ともくんは楽しそうに友達と話をしています。
いじめではなさそう?
ではなぜ自己紹介のカードがないのか。

女の子に教えてもらうのです。
「ともくんな、どうしてか 知らんけど、名前が いややって、けした。
そういえば、名前のないカードが一枚あったのです。

どうして名前を書くのが嫌なのでしょう?
突き止めようと、移動教室で出ていくこどもたちについていこうか迷うみけねえちゃん。
そこへ、ともくん。「スパイは こんかて いい。」と言うのです。
確かにおかあちゃんのスパイですね。

「いやみばっかり、いわんといて。いいたいことが あるなら、はっきり いうて。」
ついにちゃんと対話することを選んだ二人。
なぜ、ともくんが名前を書きたがらず、「うーちゃん」と自分のことを言い出したのか、わかるときが来るのです。

自分の名前の由来を調べる授業。ありますね。
それがきっかけだったのです。
かあちゃんに聞いたけど、おかあちゃんは教えてくれなかったんだそうです。

じゃあなぜおかあちゃんは教えてくれなかったのか。
そこで思い至ります。
そういえば「お父さん」が出てこないお話だな。
もしかして。

そう、母子家庭だったんですね。
「ともひろ」という名前は、パパママから一文字ずつ漢字をもらって命名されたものだった。
だから、別れたパパのことが思い出されて、ママは話しづらかった
というのが真実。

母の日や父の日に、図書館でコーナー展示を作るとき、こういう家庭があることを知っているので、すこし躊躇します。
けれどスーパーでも百均でも、母の日父の日モードになりますし、一部を意識してとりやめるのは、むしろ「区別」なような気がします。

かあちゃん、涙ながらにみけねえちゃんに、名前の由来を言えなかった理由を語るのです。
お母さんだって泣きます。
弱い部分があります。
母の日、父の日の前に、こういう本と子どもが出会うといいな、と思いました。

日曜日も働くおかあちゃん
不在の間に、みけねえちゃんはともくんに、おかあちゃんが言えなかった理由を話すのです。
「ともくんは、なにも わるくないねんで。」
と話始め。「もちろん、おかあちゃんの せいでも ないし。」とちゃんと続けるみけねえちゃん。さすがです。
「おとうちゃんのことを 思い出すと、おかあちゃん、心が 弱くなってしまうのやて。」
だから、話せなかったんだよ、と。

ともくん、呟くのです。「弱くなってしまうんや。」おかあちゃんでも、そうなんだ。と。
「つらかったら ないたら いいねんで。」
ともくん、公園でひとりでうつむいていたとき、実は泣いていたのでしょう。
みけねえちゃんは優しくお話ししてあげるのです。

そして帰ってくるおかあちゃん
オムライスを作ってくれます。
ぼくも てつだう。」とお手伝いするともくん。

お、ぼく、と言いましたね。
そう、「うーちゃん」は「さよならバイバイや。」

仕上げにハートマークをケチャップで書き合うのです。
一緒の食卓につくみけねえちゃん。
見開きでイラストが描かれて終わります。
パパがいないけれど、すてきな構図。

片親で苦労することも、悲しいこともあるけれど、それでも不幸なわけではないですね。
区別せず、配慮はわすれずに、季節や行事を大切に図書館では展示を行っていきたいと思います。

久しぶりに児童書を読みました。
親子で読んでほしい本です。
親も気付きがある内容でした。

ちなみに、特に連休前は、子供たちに本を借りてほしいので、私自ら、「連休中なに読もうかな?」と楽しく選んでいる姿を見せるようにしています。
そして自分で貸出手続きをするのは、公正ではないので、図書委員さん、あるいは、混んでいないときであれば、「今だけ図書委員さん」を任命して、教えながら楽しく貸出をしてもらっています。「今だけ図書委員さん」は大好評です。

参考になりましたらうれしいです。

●趣味で読み中の本

ネットオフさんの、タダ本会員のため、送料のみでタダで頂いた本です。
「お得」とか「裏ワザ」とか、大好きです♪
読んでみると、けっこうやってることだったりすると、ニタリとしちゃいます笑
ぜひこの本に載せればいいのに。タダ本のサブスク!!
110円の本が毎月15冊、タダで頂けるのです。
怪しいと思いましたが、本当でした。
よろしければ一緒にタダ本生活しませんか?



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