小学校図書館司書おすすめ読み聞かせ児童書【なぞなぞのすきな女の子】絵本から小説へ!参加型で楽しく誘おう
●児童書で読み聞かせ。絵本からステップアップのきっかけに!
913のお話の本です。
松岡享子さんの作品で、絵もついているため、読み聞かせスタイルで、半分ほど読んで聞かせています。
年中さんくらいから、低学年まで、ながいお話にステップアップしてほしいという願いを込めて、楽しい世界を見せてあげるための本にしています。
開いてすぐの遊び紙も、なぞなぞになっていて、後ろの遊び紙が答えになっています。
ひらがなと、簡単な漢字にふりがなも振られた文字しか出てこないので、幼い子も楽しめる本です。
「あるところに、とても、なぞなぞの すきな 女の子が いました。」
お母さんを相手になぞなぞを楽しんでいるのですが、「あんまり」なぞなぞばかりするので、お母さん「くたびれたわ。」と「おもてへいって、だれか、べつの人を さがして おやりなさいな。」と言うのです。
私自身、2児の子育てママとして、また小学校図書館の先生として、とても共感してしまう一言です。
子供ってどうして飽きることなく、なぞなぞが好きなのでしょうか。
どや顔はかわいいけれど、付き合い続けるの大変ですよね。笑
女の子は森に、なぞなぞの相手探しに出掛けます。
「すると、森のなかで、ぱったり、オオカミに であいました。」
うわー、と聞き手の子供たちが反応してくれます。
カラーのオオカミの挿し絵もあります。
「こんにちは、よくふとった じょうちゃんや。」
と舌を見せつつ言ってくるのです。
女の子は言います。「だれか、わたしと なぞなぞあそび してくれる人を さがしているの。」
一方オオカミは、「ひるめしを さがしていたところだ。」
ここで逃げればいいのに、女の子ったら!「あら、まだ おひるには はやいじゃない。」と、一緒になぞなぞをしようと持ちかけるのです。
びっくりです。
女の子がまず、なぞなぞがどういうものか、一問出してみるので、オオカミと一緒に、聞き手のこどもたちに考えてもらう間をとっています。
わりと当ててくれます。盛り上がりますよ。
さて、オオカミもなぞなぞを出し返します。
「しろくて、やわらかくて、うまいもの なあんだ。」と。
難しいですね。
ポイントは、昼飯を探していたオオカミが出しているなぞなぞだということです。
だれかひとりは「人間」と当ててくれます。
そう、女の子のことなわけです。
それでも女の子。
「そんな なぞなぞ はじめて きいたわ。てちょうに つけとかなくっちゃ。」なんて返すのです。
もっと怖がって。逃げて!
そして女の子がまたなぞなぞを出します。
「しっぽ ふとくて」~「耳も くろけりゃ、手も くろい。なあんだ?」
わかりますか?
ポイントは、「オオカミを じっと みて」出題したなぞなぞです。
そう、答えはオオカミなわけで。
子供たちもすぐ正解がわかるのですが。
かんじんのオオカミ本人がここからしばーらく考え込んでしまうのです。
「しっぽ ふとくて」といえば、狐だと言い、女の子が違うと指摘。
オオカミは何個もわかったぞ、と答えるものの、外してばかり。
女の子が冷静につっこむのが続きます。
正解のわかっている子供たちも、くすくす聞き入ってくれています。
「いや、こいつは むずかしい なぞなぞだ。」
オーバーなくらい困ったように読み上げると、とてもウケてくれます。
(単調に読み上げて、想像させる、聞き手次第の読み聞かせもありますが、「なぞなぞ」が内容なので、参加型の、紙芝居のように芝居がかった読み聞かせにしています。「絵本じゃない」だけで抵抗を持ってしまう子もいるので、楽しい厚い本もあることを知ってもらうことに重点をおいています。)
さて女の子、オオカミがあんまり長いこと答えを当てないので、そのうちあくびまでしてしまいます。
「ねえ、オオカミさん。いいこと、おしえてあげましょうか?」
女の子は、目を閉じて考えるといいよ、とアドバイスするのです。
律儀にやってみるオオカミ。
を尻目に、とっとと家へ帰る女の子。
カラーで、見開きで描かれます。
よかったね、無事に逃げられて。
そして家で、オオカミから教えてもらった、答えが「女の子」のなぞなぞを、お母さんに出題するのです。
まさか答えが女の子だなんて思わず、「しろくて、やわらかくて、おいしいもの」をお母さんが挙げていきます。
パン。
アイスクリーム。
マシマロ。
確かにどれも正解。かわいい正解。
答えを知っている子供たちも、違うよねえ、とくすくす見守っています。
もちろん女の子も「大ちがい」と言うわけです。
「わからないわ。こうさん。」
そんなお母さんに、「それはね、女の子!」と答える女の子。
お母さんびっくりです。
よそでなぞなぞをしてきて、と言ったお母さんも大反省。
まさかオオカミとなぞなぞをしてくるとは!
「わたし、なぞなぞは、やっぱり おかあさんと するわ。」と言う女の子に、お母さんも「そのほうが あんしんだわ。」と言うわけです。
そしてお母さん、お昼を作ります。
つくるものを、なぞなぞで出題。
ここも聞き手の子供たちに考えてもらいます。
意外と当ててくれないなぞなぞが2問。
「それから、女の子と おかあさんは、そろって ○○と ○○の、おいしい おひるごはんを たべました。」
ここまでで31pで、ちょうど半分くらいです。
続きを紹介し、私は2冊目の読み聞かせにうつっています。
お昼ご飯つながりで、「オムライスヘイ!」を読んだり、なぞなぞの7類の本で遊んだり、なぞなぞ絵本を読んだりしています。
marimamashisyo.hatenablog.com
まだまだ悩むオオカミがどうなるか、気になる子も多く、貸し出しにつながりやすい読み聞かせです。
ぜひ絵本ばかりで、物語に進まないな、というとき、出会わせてあげたいおはなしです。
参考になりましたら嬉しいです。