司書&保育士おすすめの絵本「お月さまってどんなあじ?」
今朝、起きるなり本棚からこの本を見つけ、「おつきさまおつきさま」と2歳息子が楽しそうに読み始めました。
司書の私はもちろんのこと、保育士の母もおすすめする絵本です。
まず題名を読んだ瞬間、あるいは読み聞かせする本を机に面だしした瞬間、
「え、どんな味かな?」と食いついてくれます。
2歳の息子は見た目だと思いますが、「ほとけき」ホットケーキとにこにこ言っていました。
さて、どんな味だと思いますか?
この絵本は、サイズが縦30cm横21cmで大きめ、かつ絵のページと文のページが別れているので、
遠目もきき、大変読み聞かせ向きです。
難点は他の一般的な絵本より縦長なので、特に家庭の本棚だと、つかえて横にして片付けないといけないかもしれませんね。
かくいう我が家も横にして突っ込まれていましたが、子供って題名を読んで探すわけではないので、色や形を覚えているんでしょうね、すぐ見つけて持ってきます。
まず開くと、見開きでお月さまが大きく描かれていて、背景の夜の暗闇に、実は目がいくつもあるんです。
読み聞かせ始まってすぐすぎて、または小さいので気づいていない子もいるかもしれませんが、自分で見てみてほしいページです。
どれがだれの目なんでしょうね?
おはなしは、小さな亀が決心するところから始まります。
お山に上って、お月さまをかじってみよう。あまいのかな。しょっぱいのかな。と。
でも届かなくて、ぼくのせなかにのって、と次の動物をよぶのです。
そのよびあいが続くのですが、次に背にのる動物が、ちゃんとページに描かれていて、先回り大好きな子供たちは「次は○○だー」と、自分だけわかったみたいに楽しそうに聞いてくれます。
大人的には、きりんの段階でいいとこ行っていると思うのです。
そのあときりんさん、首下げて次の動物のせているので、首あげて背伸びしてたさっきのほうが高いような…、なんて思ってしまいますが、子供は気にしませんね。
そもそも一番下の亀さん大丈夫?とも思ってしまいます。
大人になるって、悲しいですね。冷静に考えてしまいます。
いっぱい動物が動物の上に乗っていき、月に届きそうなほど高くなった頃、月はといえば、
「あんなちびじゃ、むりだな」
ねずみが助っ人でよばれたときの一言です。
あら大人の考え。
動物たちの努力を見てるのも飽きちゃったんですね。
それまではいちいちちょっと、上にひょいっと逃げてたんですよ。でもねずみさんにはしなくても大丈夫とたかをくくる。
ところが、ですよね。
パリッ!
そう、ねずみさんで届いてしまったんです。
「お月さまは、○○あじでした。」
このラストがとても好きです。
ぜひ読んでほしいです。
具体的に動物たちが感じた味を書いていないのも、そのあと子供と考えたり、楽しめます。
じゃあぼくは、わたしは、どんな味がするかな?
そして目的を達した動物たち、眠りにつくのですが、見下ろすお月さまの表情がまたどちらにも見えて、それぞれの読後感でいいのだなと思いました。
ほんとの最後、水の中の魚がまた冷静な大人なこと言うんですよね。
読み聞かせた感じでは、小学校低学年は分かってくれてない、あるいはお月さまの味の方が気になってしまって、耳に入らないようでした。
中学年の子は、たしかにね、と笑って聞き終えてくれました。
幼児から小学生、大人まで楽しめる、素敵な月と動物の絵本です。
よろしければぜひお手にとって見てください。
ぜんぶ平仮名ではなく、簡単な「月、水、見」などは漢字と振り仮名があり、小学校中学年も恥ずかしくなく読むことができます。
文字が大きいので読み聞かせの持ち方をしても見やすいです。
ねずみがまず亀、そのつぎに、そのつぎにと動物に乗っていくラストは早口で読むと、ドキドキ届くかな届くかなと楽しめると思います。
お月さまの味のところは、わたしはゆっくりと、聞く子供たちの反応を楽しく見つつ読むことにしています。
「おれもたべたーい」「いいなー」なんて声も入りますが、優しくうなずきつつ、最後まで読んでいます。
ご参考になれば嬉しいです。